やがて博物学の歴史にその名を刻む名著『種の起源』を執筆することになる若きチャールズ・ダーウィンと、測量艦ビーグル号の航海をめぐるボードゲームです!
2019年のエッセンで発表された頃から、これを遊べる日が来るのを楽しみにしていました。
ボードゲームはタイトルも著書そのままに『種の起源』。
日本語版が出てくれて本当にうれしい。
最高のアートワークが施された箱に納められた、最高のゲームボード、最高の木コマ、最高のカードたち。
はてさて、肝心のゲームの方はどんな内容でしょうか…?
さっそくダーウィンとガラパゴス諸島をめぐる、歴史的な航海へと出かけましょう!
目次
どんなゲーム?
舞台は19世紀のガラパゴス諸島。プレイヤーはHMSビーグル号に乗り込んだダーウィンと共に、様々な生物の生息地や分布の研究を行います。
新しい生き物を発見するたびに得られる得点、ゲームの進行に合わせて4回集計される得点、そして獲得した生き物タイルからの得点の合計が最も高かった人がゲームに勝利します。
ゲーム全体の流れ
プレイヤーは順番に交代しながら、ゲームの終了まで繰り返し手番を行います。
ラウンドなどの区切りはありませんが、誰かの手番の終わりにときどき得点計算が起こります。
手番にできること
手番にできるのは、「調査」と「発見」という2つのアクションです。
調査
「調査」では、発見済みの生物タイルを2箇所選び、自分のキューブを1つずつ置くことで、生き物に関する知識を得られます。
知識は陸、海、空の3種類に分かれており、そのタイルごとにアイコンが1つ~3つ示されています。
キューブ1つは、その生き物上のアイコンすべてと同じだけの価値を持ちます。
船やタイルの位置関係は、このアクションでは一切関係ありません。
発見
「発見」では、公開されている未発見の生き物から1種類を選び、必要な知識を支払ってそれを発見します。
ただし使える知識には配置の制限があります。
未発見の生き物を、空きマス、または置こうとしているよりも下位の生き物タイルがすでに置いてあるマスに配置します。そこから隣接するタイル上の知識キューブのみを、支払いに用いることができるのです。
生き物の発見に成功すると、タイルごとに示された種類の報酬が得られます。
報酬では、勝利点や何らかのカードを獲得し、ビーグル号の航海を進めます。
カードの内容は、支払える追加で支払える知識や、陸海空の知識を記した「書籍」、ゲームを有利に進めるための「道具」、さまざまな能力を持つ「キャラクター」など様々です。
書籍以外は1度きりの使い捨て。
集めた書籍はゲーム中に特別な効果を発揮しませんが、最終得点計算で大きな得点源になります。
ゲームの終わり
ビーグル号の航海は、1本道のすごろくになっています。
すごろくの各マスには日付が記されています。
途中で発生する得点計算のタイミングはこの日付で決まります。
ビーグル号が最後のマスに到達すると、その手番の終わりでゲームも終了。
最終得点計算を行います。
勝利点の合計が最も高いプレイヤーが勝利します。
たのしいね、ゲームの感想!
種の起源は、ビンゴみのあるパズルのガチャゲーでした。
パズルを解くたびにご褒美ガチャが引けます!
ゲーム内容について
注目を集めるゲームボード上の船コマと海図のすごろくは、ゲームの残り時間のみを管理しています。プレイヤーが実際にやることは資源の獲得と、その得点化です。
プレイヤーが実際に遊ぶメインのパートは配置パズルのようになっています。
プレイヤー間のインタラクションは得点要素の早取りです。
とはいえ後手に回ったほうが有利だったりもするので、早取りをできるときにするかどうかも判断のしどころとなります。
発展ルール
標準ルールでは全員がほぼ同じ条件でゲームの臨むことになるので、展開が手番やめくりの運にかなり大きく影響されるように見えます。
説明書の末尾で提案されている発展ルールを導入して遊んでみると、急に悩みどころが増えて明らかに味が濃くなるからおすすめしたいです。
標準ルールでは一律で1枚1点だった生物タイルの収集が、発展ルールでは非公開の個人目標と公開目標とに差し替えられます。
得点は指定されたコレクションの達成枚数によって変動することになり、指定外のタイルの得点はありません。
狙った生き物タイルを集めたい強い動機が生まれて、目標の半分は奪い合いになるので駆け引きも熱くなります。
手番をまたいでのアクションの組み立てがとても重要。
当然のごとく、発展ルールを入れて遊ぶ方が面白いと思いました。
予想と期待と遊んでみての感想
遊ぶ前は、今風のかっちり資源パズルを予想していました。
実際に遊んでみると予想していたほどシビアではありません。
報酬のほとんどがガチャ(非公開の山から報酬をランダムに得るような)状態なのは、良い意味で期待はずれでむしろ好印象でした。
ガチャゲーは好きです。みんな好きでしょ?
配置をうまく揃えると報酬が得られる感じは、ビンゴの感覚を思い出しました。
これで揃った!みたいな。
ゲームの体験自体では、博物調査というテーマと噛み合っている気分をそんなに味わえなえないとは思いましたが、知識を積み重ねていくような手続きから、研究らしさを読み解いて遊ぶ人もいるだろうと思います。
そうでなくとも船コマが日付を追いながら島々の間を縫うように進んでいく様子は、とても雰囲気があって良いです。
いろんな生き物がきれいな絵で登場するのもとてもワクワクします。
ルールの都合上、1回のゲームでほぼ使い切るくらいの山札量なのですが、ほんとは2倍3倍の生き物に登場して欲しいなあ。拡張は出るのかな。
ドハマリして短期間に何度も繰り返すよりも、棚に置いておくと安心し、ときどき取り出して遊んだり愛でたりするような作品かなと思います。
まとめ
ゲームの規模感を有名なボードゲーム例えるなら、「センチュリー」シリーズくらいでしょうか。
私自身は最近はもうちょっと重めのゲームが好きなので、これくらいの手応えだと物足りなくなってしまいますけど、それはぜんぜんこのゲームのせいじゃないです。
ビジュアルだけ観てこのゲームで遊びたいと思って手にとったようなカジュアルゲーマーにはむしろ、これくらいがちょうどいいのではと思います。
さらに説明書では、カードを使わずにもっと簡単に遊ぶ「ファミリールール」も提案されてます。
ボードゲームとして、全体的に作りが丁寧で、箱が想像よりも小さめ(カルカソンヌサイズ?)だったのが好評価です。
説明書にも、テーマを支えるようなバックグラウンドの解説が各所に記載されていて、遊びながら読むのも楽しそうです。
飾っておけば賢くなった気分が味わえるので、早く手に入れて棚の目立つところに置いておくのがおすすめです!
HMSビーグル号について
ついでに調べていたことをまとめていたら長くなったので、記事を分けました。
合わせて読んでね▼
【ライフ】『種の起源 ボードゲーム』で遊んだついでに気になった「HMSビーグル号」について調べたので書いておく。 - #たのしいね
『種の起源 ボードゲーム / On the Origin of Species』
2-4人用 / 約45-80分 / 9歳以上
Designer: Gerard Ascensi, Ferran Renalias
Artist: Amelia Sales
Publicher: アークライト(日本語版 2022)
On the Origin of Species | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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