テンデイズゲームズが2022年12月の日本に贈る、バチバチ陣取り系ダイスゲーム!
…という見た目をしていますが、前評判通り、遊んでみるとそんなにバチバチしません。むしろピースフル。現代風に調整された、手軽で悩ましいボードゲームです。
あとボックス内の収まり具合がめちゃくちゃ気持ちいい!
さっそく遊ぶ機会があったので、感想を書き残します。
どんなゲーム?
手番が来るたびにサイコロを振り、5つあるパラメーターのどれかは伸びるように陣取りを繰り返すゲームです。
世界地図を模したボード上で駒を動かし合いながら、覇権の足跡を刻みます。
個人ボードのパラメーターは「サイコロの数」「振り直しの機会」「駒の移動可能回数」「得点になる偉業カード」「ボード上の自駒の数」に対応しています。
どのパラメーターのどの段階でいくつの強さになるか、何勝利点分になるかは、担当する文明によってボード上の数値に差があります。
ボード上では、対戦相手のよりも多くの駒を配置することで、他プレイヤーの支配領域もかなり気軽に奪うことができます。
ただし、奪われた土地から撤退する相手の駒はゲームから除外されたりせず、持ち主の支配領域に好きに再配置できるので、対戦相手の次手番の備えが捗ることにもつながったりします。
ゲーム終了まではたった8ラウンド=8手番!
なんと終了時の世界の支配状況は、勝敗には直接関係はなく。
パラメーターの上がり具合、都市タイル、達成した偉業から得られる勝利点を数えます。合計がもっとも高い人が勝ちです。
世界地図を目まぐるしく塗り替えながら、文明を鍛え上げましょう。
たのしいね、あそんだ感想!
人類の歴史を早送りで観るかのような8ラウンドを味わえる作品です!
このゲームのルールは、現代風の「バチバチしにくい」印象づくりを優先して意図されたものだと想像できます。
しかしそのことによってテーマを阻害することなく、世界地図上で数百年数千年に渡るような文明の盛衰が見事に再現されることにはとても驚きました。
1ラウンド1手番ずつなので、ゲーム中に行えるのは8手番だけ。にも関わらず1手番ごとの収穫が大きいので、ゲームがぐんぐん前に進むのを感じられます。
むやみに停滞すると、その差をあとから埋めるのは大変そう。
説明書にわざわざ序盤のコツとして「出し惜しむな、やれることはやれ」みたいなことが書いてあるのですが、やってみて納得でした。
各自の文明を鍛えながら得点を稼ぐことにプレイヤーを注力させることで、ボードで繰り返される陣地の奪い合いにはほとんど執着せずに済むようになっています。
プレイヤー間の干渉度合い、インタラクションがとても大きいにも関わらず、自分だけの箱庭ゲームに思えてくるほどです。
任意のパラメーターを上げたいがために、サイコロの特定の出目を狙いたくなるところも、その構造を後押ししています。
サイコロの出目はあまり自由にならないゲームなので、受け入れて計画を立てるしかないですからね。
陣取りみたいな手続きで遊ぶのは好きだけど、とはいえあまりバチバチ、殴ったり殴られたりすることには気を使ってしまってやりづらい。
そんな悩みを抱えて悶々とする令和っ子な私達に、提案された答えのひとつがこのゲームと言えるでしょう。
それと、この作品では特筆しておきたいことなのですが。
ダブルレイヤーでトークンがきっちりハマる個人ボードも気持ちいいし、箱への収納も無理なくきっちりおさまるから、とても気持ちいです。
一見して目を引く派手さはないものの、物として触る喜びがあるということも好印象でした!
『ファーストエンパイア / First Empires』
2-5人用 / 約45-60分 / 14歳以上
Designer: Eric B. Vogel
Artist: Jérémie Fleury
Publicher: テンデイズゲームズ(日本語版 2022)
First Empires | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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