ただでさえ複雑な『テケン:太陽のオベリスク』を、さらに複雑に、さらに面白くする拡張が登場です。
基本セットのバリエーションを増やす範囲に留まらず、なんと大胆にも新しいボードと新しいパラメーター、そして新しいアクションが追加されることになりました。
戦いを司る神セトがテケンに、アッパーな選択肢をもたらします!!
セトの時代は、テケンの基本セットと合わせて遊ぶ拡張セットです。基本セットについて書いた記事はこちら▼
『テケン:太陽のオベリスク』棒を掴んで日陰をくるくる回そうよ【90点】 - #ボードゲームたのしいね
目次
どんなゲーム?
テケンはかなり重厚な、ダイス選択型の戦略ゲーム。
プレイヤーは古代エジプトの貴族として、この地域を反映させることを目指します。
拡張を混ぜても、概ねの遊び方は基本セットと一緒。
6つだった神アクションが、7つに増えました!
「セトの時代」の変更点
基本セットを知っている人が拡張セットについていちばん知りたいことだと思うので、変更される内容についてすこし詳しく書きます。
大きな変更は大きく2つです。
ゲームボードが追加される。
セトボードと呼ばれるあらたなボードが追加されます。このボードには、専用のダイス置き場、新たな彫像や建物の置き場、そして新たなトラックが用意されています。
カードが追加される。
ゲームの準備やマァトフェイズで選択できる新規のカードが追加されます。さらに既存の各カードの山札もすこしずつボリュームアップします。
それぞれの追加要素について、更に詳しく見ていきましょう。
追加のゲームボード
セトボード
基本セットの大きなゲームボードとは別に、セト神アクションのためのボードが追加されます。
セトボード上には、新たに彫像や建物を置けるマスがあります。
セトアクションを行うことでセトボード上に建物を置くことで、資源やカードなど様々な恩恵を獲得できます。
さらにセトアクションに連動して、メインボードの神殿複合体の任意の空きマスも強化されることになります。
セトアクション
セトアクション自体は、オベリスクの周りに置かれたダイスではなく、セトボード上に用意される専用のダイスを選ぶことで行います。
他の神アクション同様、書記官2枚を支払うアヌビスアクションによって、セトアクションを行うこともできます。
出目に応じたマスに、兵士を支払って建物を置き、そこに示された報酬を獲得します。
セトアクションを行うたび、遠征をして民が血を流したことになり、個人ボードに取り除くことのできない汚れのトークンが置かれます。
彫像マス
セトボードでは、建物マスだけでなく彫像マスも追加されます。
メインボードにもこの選択肢が示されるようになります。
セト神のための彫像を建てると、他のプレイヤーがセトアクションを行うたびに資源をひとつ受け取れるようになります。このボーナスは固定です。
セトボード上にも、人々のための彫像を建てることができます。
建てると、すでに建設されている建物の数に応じて最大3回、トトアクションを行うことができます。
すでに人々のための彫像が経っている状態でセトアクションで建物を建てる場合には、勝利点も得られるようになります。
兵士と神官
セトボードとともに、人口や幸福値とは別の「兵士」と「神官」という2つのパラメータートラックが新たにゲームに登場します。
兵士の値は、セトアクションで建物を建てるために支払います。セトアクションの建物マスは出目ごとに地名が割り当てられており、遠隔地を征服するためには兵士が必要だ、という設定になっています。
神官の値は、通常の運命カードよりも断然強力な「工芸品」のカードを獲得するために支払います。
追加のカード
セトの時代では、基本セットの初期カードがすべて入れ替わります。
拡張で新規で追加されるのは、崇拝者カードと工芸品カードの2種類です。
さらに既存の山札への追加カードもあります。
初期カード
基本セットの初期カードはすべて入れ替わります。
大きな変更は、すべてのカードで「兵士」と「神官」という新しいパラメーターに関わる効果が増えることです。
そのためプレイヤーは、ゲームスタート時点でいくらかの兵士と神官の数値を獲得している状態でゲームを始めることができます。
それ以外の初期カードに寄って得られる資源などバリエーションは、基本セットとあまり違いがありません。
崇拝者
崇拝者はゲームの準備の段階でのみ獲得できるカードです。
ゲームの準備段階で初期カードと並べ、同様の選択肢として獲得することができます。
初期カードとは違い、即時の報酬はなく箱に戻すことなく、ゲーム中も選んだプレイヤーの手元に残ります。
所持しているプレイヤーは、崇拝者に指定された特定のアクション条件を満たすたびに、パラメーターの上昇などのボーナスが得られるようになります。
崇拝者の条件が満たされると、別パラメーターの獲得や資源の変換など、他のプレイヤーも恩恵を得られます。
工芸品
工芸品は、ゲームの準備時点と、毎回のマァトフェイズのたびに獲得できるチャンスがあるカードです。
工芸品ごとに、獲得に必要な神官値の支払いが設定されています。獲得すると運命カード代わりに機能し、通常の運命カードよりも強力なボーナスを得られます。
工芸品を獲得し効果を適用したら、手元には残さずゲームから除外されます。
追加の山札
技術カードや祝福カード、布告カード、など既存の山札にも、新しいカードが数枚ずつ追加されます。
概ねの傾向としては、追加される新規のカードは拡張セットで追加されたセトアクションや汚れトークンに関わるような効果を持ちます。
設置済みの建物の位置を移動するなど、トリッキーなカードも追加されます。
たのしいね、遊んだ感想!
まさかそんなことが可能だと、誰が予想できたでしょうか!?
ぎゅうぎゅうに詰まって複雑に絡み合ったアクションの種類が、この拡張によってさらに増えるのです。
びっくり!
印象的な改善点は、ゲームスタート時点でのカード選択やマァトフェイズの存在感が増すことです。
基本セットでは低い数字で膠着する展開が多く、処理に手間がかかる割にはぱっとしないなあという印象だったマァトフェイズ。
セトアクションにより流血トークンが蓄積するため、特に減点方向にではありますが、よりダイナミックに展開するのを目にしやすくなるでしょう。
相対的に、基本セットではあまり重視していなかった信仰トークンも、汚れを打ち消すために価値が高まったように思いました。
セトアクションのためのボードが追加されること、単純に選択肢が増えるだけでなく、かなりシビアだった陣取り競争が少し緩和するなどの副次的な影響ももたらします。
考えることが増えたかわりに、何をやったら前に進めるのか分からないといった苦しさは減り、前向きな軌道修正がしやすくなったように感じました。
セトアクションによって、全体的に点数を伸ばしやすくなったとも言えるでしょう。
どうせ基本セットだけでも複雑なので、同じテケンを遊ぶなら「セトの時代」も加えてしまうのが体験が豊かなのでおすすめだと私は思います。
手に入れやすい今のうちに、ぜひ揃えてしまいましょう!
『テケン:拡張 セトの時代 / Tekhenu: Time of Seth』
1-4人用 / 約60-120分 / 14歳以上
Designer: Daniele Tascini, Dávid Turczi
Artist: Jakub Fajtanowski, Zbigniew Umgelter, Aleksander Zawada
Publicher: テンデイズゲームズ(日本語版 2021)
Tekhenu: Time of Seth | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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