このブログは楽しかったものだけ、そういう感想だけ書く方針だけど。
くよくよしてると筆が止まりそうなので、ボドゲ日記を書き続けるに当たってはとにかく「書くこと」が優先。ポジティブもネガティブも、どっちもただの気持ちとして書き飛ばすようにしている。
読み返してみると、もしもそのゲームの単体記事としてだったら書かなそうなことも方針に反して書き残してしまっていたりするのは、そういうわけです。
言い訳終わり。
そんな3月のラインナップはこちら!
メッシーナ1347
1347年、ヨーロッパを黒死病ことペストの大流行が襲う前夜のシチリア島、メッシーナの街が舞台。
人々を救い都市を復興したいワーカープレースメントです。
最初にネガティブに思ったところを言ってしまうが、全体的に煩雑な処理順があって直観的でなく、UIでもフォローされてない。ずっとサマリー片手に確認しながら遊ぶことになった。
ワーカーを置くたび、そこにいる市民を救出→疫病を退治→対応するアクション、みたいなこまかいステップがあり、各ステップに分岐がある。
交代で1ワーカーずつ、全員がすべてのワーカーを配置し終わったらラウンド終わりで、ラウンドの終わりと準備も9ステップくらいある。
これらの処理は慣れたらそうでもない、といいたいが、慣れて油断したら処理が抜けると思われる。むしろ慣れればこそ、サマリー片手にしっかり順序を守るよう心がけるほうがいいだろう。
その先にあるポジティブなところはといえば、後半に訪れるコンボの気持ちよさにあると思う。しぶい手番が続いく中で、獲得できるボーナスを連鎖的に組み合わせて急に何手番分も行動できるような機会が訪れる。もちろん気分がいい。
このゲームを作ったのは、ウラジミール・スヒィさん。
日本でも近年かなり人気のある、中堅、もしかしたら若手に含まれるくらいの層に属するボードゲーム作家だ。
私も数作品はやったことがある(パルサー2849、プラハ王国の首都、メッシーナ1347)ので、そろそろスヒィさんの作家性を語れる気がしてきた。
一般論として、ある程度複雑なゲーム(仮に中〜重量級みたいな呼び方でもいあ)には得点や拡大成長の要素が複数用意されていることが普通だ。そして各要素には上限が設定されている事が多い。パラメータトラックの最大値、というような。
分かりやすいように決めておくけど、例えば5要素各10段階ありますよ、みたいな、ぜんぶやりきると合計50点満点くらいやれることがあるよという状態を、この話の基準モデルとしよう。
ゲームによっては、「何もかもすごくうまく行けば全部上限に行けますよ。平均的なプレイの達成度40~50点(ただしこの合計値を伸ばすことで必ず勝てるとは限らないけどね)」みたいなものもあれば、「1要素だけにしぼって頑張れば上限に達することもあるかも。平均的なプレイの達成度は10~15点(大抵はそれをなし得た者の中から、勝者が出るだろう)」みたいなゲームもある。前者を甘め、後者を辛めと評することにする。
で、スヒィさんの作品は、ゲームに慣れてうまくやったらまあ3割は埋められますよ、みたいな味付けしになっている気がする。4割かもしれない。平均的なプレイで20~30点くらいかな。
とにかく何回か遊んでみても、めぐりが悪いと半分行くのも難しい感じ。そこそこ辛めの味付けをする作家と思う。
ちなみに私の好みはまあ普通にやれば半分くらい取れて、うまくやれたら7割くらい取れるやつ。平均的なプレイで30~40ステップくらいが見込まれるくらいが好きかな。
こういう側面での甘さや辛さ、好みの話あんまり聞かない気がするね。
で、スヒィさんのゲームはじゃあ辛めだから、このゲームも私の好みじゃないかっていわれるとそう単純ではなくて。ちゃんといいところはある。
スヒィさんの気持ちよさは特に後半のコンボ感にあると思う。
辛さの中であがきながら、表面的には停滞していた中での組み立てが活きてくると、突然、ぐぐっとゲームが前に進む手番がやってくる。ボーナスの連鎖によって数手番分の行動ができたり、目標達成で桁違いの大量得点とか、そういう形で現れる。
『メッシーナ1347』においても、まさにそのような仕組みは用意されている。
この作品に限った話をするならば、そういう連鎖を期待できそうなポイントが最初からマップや個人ボードの端々に点在して見えてはいるのだけれども、セットアップやインタラクションの運びで、実際にはぜんぜん思い通りにはならない。だから見通しの立たなさがゲームに慣れてからもずっとついて回る。
連鎖を目指した積み重ねを志向できるというよりは、棚ぼた的に状況が噛み合うことがあるので、その機がなるべく訪れるように立ち回るし、実際に訪れたときにうまく拾いに行けるかどうか。みたいなところを考えていくゲームかなあと私には思えた。
上級ルールを適用すると、個人ボードが非対称になって自分の得点源が制限される形になり、領地に配置するだけでもらえる即時ボーナスも目立つ。ルールに慣れていれば初級ルールよりもむしろプレイの方針がわかりやすくなる気がしています。
なので遊び方が分かったら上級ルールにするのがよろしいでしょう。
ところで。
史実では19世紀までなし得なかったはずの公衆衛生的な概念とか感染源への適切な対処を、14世紀を舞台に平然と行うプレイヤーたちったら、どういう立場の誰なのかと不思議に思っちゃうのは無粋なんだろうか。
書いてないけどもしかしてタイムトラベラーなのかな?みたいなことが気になってしまうので、テーマとゲームのマッチング具合について私は大いに疑問があった。
「パルサー」や「プラハ」においても、テーマと、ゲーム的な仕組みや実際のプレイ感のかみ合わせはそこまで重視していないように感じたな。
でもBGGの感想など眺める限りは「よく再現されている」と考える人もは少なくないようだ。
ホントのところは、あなたが遊んでみるまでわからない。
バーゲンクエスト
剣と魔法の世界の武器防具屋さんになって、もりもり稼いじゃおうというゲーム。
基本的にたくさん稼げた人が勝ち。
お店にきたお客さん=冒険者がモンスターを討伐できると追加点みたいなこともあるのですが、それより素直に商売で稼いだほうが得点的な効率は良さそう。だからモンスターの討伐を気にするよりも、いかに有り金いっぱいまで売りつけられるかってことが大事。
討伐をおろそかにすると冒険者はいなくなってしまうのですが、お客さんの命を軽視しても問題ないところは、プレイヤーの好みが分かれたりするところなんでしょうか。
だってしっかり計算して生存や討伐を狙ったところで、いざ戦闘の前にランダムでバフ/デバフがかかったりするからさ、あんまりこだわってもしょうがないじゃん?
それに、代わりにやって来る新しいお客さんはお金をたっぷり持ってるんだから、何も問題ないよね!
ほかにゲーム的な話でいうと、仕入れがアイテムカードのドラフト(カードの束から1枚取って残りを隣の人に渡すやつ)で行われるところも好みが分かれるのかな。ドラフト好きな人多いよね。私はそれ自体はそんなにですけど。
全体としては、ありそうであんまりない取っつきやすいテーマで比較的簡単なルール、雰囲気のあるコンポーネントで6人まで遊べて人数増えても小一時間で終わりそうという総合力で、かなり使い勝手の良いボドゲだと思いました。
テラフォーミングマーズ ダイスゲーム
確定申告等の忙しさがあってほぼ毎晩遊んでたボドゲスケジュールが一旦途切れたあと、取り出したのが久しぶりのこれ。
久しぶりでもすぐにルールを把握し直せて、気軽に小一時間遊べる作品であるという実績ができました。
非テラフォファンにも安心して遊んでもらえる一作だと思う。
いまは品薄なようですが、再販があるようだったらぜひみんなの手元にも置いておくのをおすすめしたい。
リバイブ
総じて、すごくいいゲームですね!
殴り合いみたいな直接攻撃の要素はありません。でも各所に早取りの要素があって、ほどほどに他プレイヤーを意識するような競争があります。
ボードの広さは最初から決まっていますが、探索というアクションでタイルをくることで、すこしずつ世界の広がりが明らかになっていくような冒険感もあるのが嬉しいです。
個人的には、プレイヤーごとのボードに能力差があるのも好みです。
序盤は資源が乏しく苦しい中から選択肢をひねり出しますが、手番を行うたびに踏み出した一歩が予想以上の見返りをもたらすので、ゲームがぐんぐん前に進んでいくのを感じます。非常にポジティブなプレイ感を覚えました。
結構ルール量があるのだけど、説明書がすごく丁寧でこまめな例示があるのでぜったいわかるようになる。わかるようにはなるのだけれど、説明書が丁寧な弊害で文章量も多くなっているので、「初回からすべてを把握して遊ぶ」みたいなことは困難なように思います。
ちょうどキャンペーンという複数回遊ぶモードがお膳立てしてあるので、それに従ってルールを増やしながら何回か遊ぶつもりでやれたら、初心者でも味わいやすくなるように思います。
ルール量が多いだけあって、準備も大変。どんなふうに片付けるとスムーズになるか、考えながらセッティングをしましょう。
ボードゲーム慣れしてる人たちは「最初からキャンペーンもぜんぶ入れちまえ」っていう評価なようだし、それができる人たちが遊ぶならそれでもいいと思う。どちらにせよキャンペーンのストーリーはあんまり気にしなくていいと思う。
日本語版が出てくれてうれしいね。
まだ基本セットもギリギリ手に入ると思うのでぜひ手にとってください。
リバイブ拡張
やったーっ、拡張が出たよ!
「勢力ボードが増えるよ」みたいな話にまず目が向きますが、全体の味を変える変更点としてはまず、スイッチアクションを復活させる手段が増えて用途もすこし増える影響が大きい気がしました。
これにより手番ごとの選択肢がもうちょっと広がることになります。
例えば「欲しい資源がどうあがいても手に入らないから冬眠だな~」みたいな状況が、もう1手番あとの話になる状況が増えるってことね。
それから、ゲーム中に入る得点で新たな「貢献トラック」を進めて、ゲーム中の恩恵を増やすことを目指すこともできるようになります。
貢献トラックでしか手に入らないクラゲのカードは、普通の市民の倍くらい強いんですが、獲得するためには得点を犠牲にしてるわけで。単純に「新要素を進めたほうが絶対つよい」とは言い切れないところがポイントです。
拡張を入れたとて、スイッチアクションの話も貢献トラックの話も、もちろん新たな勢力ボードも、関係ないまま基本セット通りのプレイをすることも許されているし、たぶん「そしたら負け確」ということもなさそう。よくできた基本ゲームに合わせて、よく洗練された拡張だなあと思いました。
日本語版が出てくれてうれしいね。
基本セットを気に入ってる人はもちろん、まだ積んでる人も、ぜひ手にとってくださいね。
ロフォーテン
バトルライン亜種な2人用対戦パズルゲーム。
カードを使って船を動かすことで手に入れた商品を使って、得点となる「倉庫」を巡る綱引きをします。4つの綱引きで得られた得点が最も高い人が勝ち。
さわやかでかわいいビジュアルですが、さわやかではいられない貪欲にガツガツし合うような内容です。
見えている情報が限られている中で手札の数字とボーナスを活かす必要があるのですが、先は見えないのに過去は確定するから手番のやりくりの不備はあとあと響いてくるし、ランダムに出てくる商品は最終的にぜんぶ場に並ぶことになるからあいまいな要素はほとんど残らない。
よって、対戦する同士で対等にしっかりルールを把握していないと、ワンサイドゲームになってしまいがち。そんなに複雑なゲームではないですが、お互いのルール把握に自信がなければ1回目のゲームと割り切って取り組むのがよいでしょう。
まとめると、遊ぶ2人がしっかりルールを把握して、自分の得だけでなく相手の妨害を天秤に掛けながら立ち回ることで、ゲームの本来のポテンシャルが発揮されるタイプのボドゲだと思いました。
展開をより豊かに広げる拡張モジュールが複数含まれているので、いくつかを好きに組み合わせて自分たち好みの味付けに調整して遊べますよ。
ファーストラット
宇宙飛行士を目指すネズミたちのゲーム。
ずーっと遊びたかったやつ!!!
まあ遊びたかったんですけど、面白いに決まっていたので安心して後回しにしていたところもある。日本語版を予約で買ったまま積んでいました。
さてこのゲームは、自分で歩数を決められるすごろくで、止まったマスに応じたボーナスを獲得しながら進めます。
悩みどころは1コマだけ動かすか、複数コマを動かすかというところ。
複数コマを動かせるならボーナスもコマの数だけ増えるのだけど、もちろんそれを毎回できるわけじゃない。1コマだけ動かして調整したり、複数動かすにしてもどのマスをどの順番で狙うかみたいな損得を考えていくわけです。
やさしめルールで小一時間で遊んで満足度の高いボリューム。みなさんの棚にも置いてあって損はないでしょう。
シンプルなルールでさわやかに悩ませてくれるし、雰囲気もよく演出された素敵なボードゲームです。
インペリアルマイナーズ
インペリアルセトラーズというゲームと同じ世界観を持った、別作者の手による別ゲーム。
とはいえ名前が冠されていもいるので、シリーズファンとしては期待しちゃう。
前作『エンパイアズオブノースシー』も日本語版になっており、私も気に入って10回以上は遊んだものだからね。
で、今作インペリアルマイナーズは、築き上げた自分たちの帝国の地下を掘れっていう、急にどうした?みたいな設定のゲーム。
そんな設定を反映し、前作までのような他プレイヤーとガツガツ競い合う要素がまったくありません。
各自の手元でうまくやれ!っていういさぎよいゲーム。
とはいえ、前10ラウンドの各ラウンドにめくられるイベントカードは共通なので、ゲームの大きな流れみたいなものは共有しながらいっしょに遊んでいる雰囲気はちゃんとあります。
「初心者と遊ぶのにオススメ」みたいな評判をちらほら見かけた気がしていましたが、遊んでみると正直、簡単なゲームではないと思いました。
ガチャ引きながら最善手を考えていってねというルールになっており、複数カードのテキストを自力で読み解きながら、効果の組み合わせを考えなければいけないからです。
カードの効果を組み合わせるのは大変ですが、いざ置いてしまえば「そのラウンドに置いたカード」を起点に順に追っていけばいいので、処理はしやすいゲームだと思います。
だから、ボードゲームを始めて間もないけどだんだん楽しくなってきたような人が「ちょっと難しいゲームにも挑戦してみたいな」という意欲の出てきたとき出してみるゲームとしてなら、かなりいいんじゃないかなと思いました。
もちろんボードゲームに十分慣れている人が気軽に遊ぶのにもオススメです。ガチャで引いた分だけ相手にすればいいので、カードプールなどを把握する必要もなく、妨害し合うような緊張とも無縁で、のびのび楽しめると思います。
私もかなり気に入って何日も箱を開け、続けて2回遊ぶような日もありました。
最初の数回は展開の偏りがバランスの悪さに見えて気になったこともありますが、繰り返すうちにやっぱり展開の偏りだなと思えるようになったので評価が高めに固まりました。
海外でも好評なようで拡張の制作が発表されているので、そちらも非常に楽しみにしています。
みんなで応援して拡張も日本語版を出してもらおうね!
3月の思い出
子どもと浅草の花やしきに初めて行きました。冒頭の写真は毎年楽しみにしている五美大展に行ったときのもの。
3月は確定申告があったり新年度の準備も控えていて何かと忙しく、ボードゲームで遊べる頻度が今年に入ってからは最低を記録するくらいのペースでしたが、書き忘れていたタイトルとかを合わせてメモにしたら結構なボリュームになりましたね。
あのゲームとかは単独記事にすればよかったのでは??
まあいいやっ。
遊んだ中で印象に残ったのはリバイブとその拡張。テラフォダイスの魅力も再発見できました。あとはインペリアルマイナーズは期待値低めで遊んでそれを大幅に超えてきたので嬉しかったです。期待していたファーストラットも良かったです。なんか親戚の子が来たときとかに一緒に遊びたい。
迷うところだけど今月のMVPを選ぶなら、新しいの優先で『インペリアルマイナーズ』にしておきましょう。
それじゃあまたね☺
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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