テケン!
太陽のオベリスク!
古代エジプトを舞台にした、このゲーム。私の信頼するダニエル・タッシーニさんの作品ということで日本語版発売間もなく手元に確保しておりました。
それからあっという間に2022年、うかうか積んでいるうちについ先月には拡張セットの日本語版まで発売しちゃいました。
やったね!?
そういうわけでこの機会に、ようやく基本セットから遊んでみました。
どんなゲーム?
プレイヤーは、古代エジプトの貴族です。
アメン・ラーの神殿や、かの有名なカルナックの地域を発展させることを目指します。
ルールはかなり複雑です。
なのでここでは概要だけざっくり説明します。
プレイヤーは手番になったら、オベリスクのまわりからサイコロをひとつ選んで受け取ります。
サイコロが置かれていた区画、色、出目などを観て、それに応じたアクションを行います。
アクションは7つの神の名を称える7種類(うち1種類はワイルドなので実質6種類)と資源の生産。
それぞれのアクションで、資源を支払ったり建物や柱や彫像を建てたり、新しいカードや報酬をもらったり。それぞれのアクションの効果は、別のアクションや得点計算などで相互に様々な影響を及ぼします。
手番が2順するごとにオベリスクの周りを太陽が周り影が動き、サイコロの状況が変わります。
通算16手番ずつを行い、2度の得点計算を経て、最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します。
もっとルールの詳細を知りたい方は、日本語版販売元であるテンデイズさんのブログをご覧くださいね▼
https://blog.tendays.tokyo/?p=304
たのしいね、遊んだ感想!
そびえ立つテケンのオベリスクを見てワクワク!
しかし、テケンのルールは、遊ぶ前にはものすごく複雑に見えます。
説明書を読んだり説明を聞いたりして、ゲームのルールをなんとなく把握でたとしても、遊んで見ないことには何が起こるのかぜんぜんわからない気分でした。
だからぜひ、3回は遊んでほしい。
1回目はほとんど練習。2回目以降、遊ぶたびにどんどん面白くなっていくゲームです!
特に味わい深いのが、求められる資源のきつさと得られる手応えの巧妙なバランス。
基本的に資源はカツカツで、最初から最後までずっと何かをするために何かを集めることを繰り返すことになることが多いです。なのにゲームの最後の手番を回す頃にはなぜだか「それなりにやり遂げた」「よく頑張ったな~」みたいな気分になってきます。
その実感が、点数の伸びと乖離していたりするのも面白いところ。
よく頑張ったぞ~と思ったあとの点数計算が意外と伸び悩んだり。うまく行かないところがいっぱいあったな~と思っても、まとまった得点がガツンと受け取れたり。
おそらくですが、分かりやすい短期的で小規模な報酬が、中長期にわたる大規模な報酬と、プレイヤーの主観上ではうまく釣り合いが取れて見えることによるのだろうなと思います。
ところでまだこの作品を遊んだことのない方には、このゲームのビジュアルはどのように見えているでしょうか。
そびえ立つオベリスクが目を引くのはもちろんです。
でもそれ以外のところはあまり目立ちにくいと思いませんか?
ボードやカードなどが全体的に落ち着いた色調でデザインされているのに対して、各プレイヤーの木駒が色鮮やかなところも実は、遊んでいて楽しいポイントだと私は思います。
スタート時点では各プレイヤーの手元にある「柱」や「建物」、「彫像」といった駒を、みなで共有するゲームボードにどんどん移していくことになります。
そのためゲーム開始時点では、地味な色合いだったボードが、ゲームの進行に合わせてどんどん華やかになっていくのです。
それはもうテーマの通り、砂漠の街が「発展」している様子そのものです。
残念ながら私は2人プレイでしか遊べていないのですが、4人のプレイヤーの手によってピンク、スカイブルー、パープル、オレンジといった駒が各所に立ち並んだ盤面はとても見ごたえがあるだろうなと想像できます。
オベリスクことテケン棒については、発売当初には「ただのフレーバーなのでなくても構わない」「向こう側が見えなくて邪魔」みたいな声をちらほら見かけた気がしました。
実際に使ってみた感じ、影を回すのに便利だし雰囲気もぜんぜん変わります。確かに向こう側は見えないですけど、どうせボードの色んな所を見に行きたいゲームなので、そんなに邪魔でもないです。
なので私といたしましては、絶対あったほうが良いじゃんと思う立場です。
ルールブックが特別分かりにくいわけではないのですが、説明に数回目を通してようやく全体像をつかめる感じ。理解するのに時間がかかります。
というのも、手番ごとにできるアクションの処理が種類ごとにそれぞれに独立していて、なのにアクションの効果は相互に連動するという複雑な構造になっているからです。
そのためそれぞれの部分部分と全体を概ね理解して、ようやくひとつひとつに納得して遊べるようになる感じでした。
遊べるようになるとはいっても動かす手順がわかっただけなので、実際に手を動かしなぎら遊んでみないことには、なんのために何をするのかという確信が持てないことばかり。
初回プレイでは、なんとなく把握できたルールに則ってできることを探して実行し、何が起こるか確かめていくような2時間ちょっとを過ごしました。
ルールを覚えた2回目からは、急激にプレイ時間が縮むので安心してください。わかったぶん、判断に悩むことも増えるかもしれませんが…!
特に頻繁な、2手番ずつ周るごとにオベリスクのまわりで影を動かす手順を忘れてしまうことが多いです。テケンでいちばん特徴的なギミックなのに。
これを防ぐためには各プレイヤーが手番ごとに、これから何個目のサイコロを取るのか声に出して宣言してから手番を行うなどできると良いでしょう。
これはあまり共感されないことかも知れませんが、本作のお気に入りポイントをもうひとつ。
各プレイヤーにゲームのはじめに配られる「布告カード」というのがあります。
布告カードはゲーム中にも手に入りますが、入手のハードルがそれなりに高いので、この最初の1枚のみを頼りにゲームを終えることも多々あります。
このカードから得られる得点が、ゲーム全体の2割3割を占めることもあるくらい、得点源としてかなりでかい。
配られた布告カードが実質的に、自分だけに許された得点チートだな?というあたりに考えが及ぶと、繰り返し遊ぶことたびの新鮮さや、派手さすら感じられるようになってきます。
だってタッシーニの過去作、マルコポーロのキャラクター能力を彷彿とさせる気がしてニヤニヤしちゃうんですよね。
この布告カードが来たから今回はこの辺に力を入れていってみよう!というプレイの指針にしやすいし、そうやって遊ぶのが楽しいです。
重いゲームを複数回遊べる環境のない人にとっては本領発揮しにくいかもしれない作品ではありますが、私はとても気に入ったのでひとまず90点でのご紹介とさせていただきます。
これまでに6回ほど遊んでいるうちにますます楽しくなってきているので、更新してスコアアップすることもあるかも知れません。
我こそはと思う人は、市場在庫があるうちに手に入れておきましょう!
こんなに重いのに、毎回90分前後で決着がつくのはお得感すらある気がします。
テケンのために重いゲームを複数回遊べる環境を作って遊んでね。
エジプト風のテーマや重いゲームに抵抗がなく、繰り返し楽しめそうな方はぜひぜひ。
『テケン:太陽のオベリスク / Tekhenu: Obelisk of the Sun』
1-4人用 / 約60-120分 / 14歳以上
Designer: Daniele Tascini, Dávid Turczi
Artist: Jakub Fajtanowski, Michał Długaj, Zbigniew Umgelter, Aleksander Zawada
Publicher: テンデイズゲームズ(日本語版 2020)
Tekhenu: Obelisk of the Sun | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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