#ボードゲームたのしいね

全作オススメ! 遊んで楽しかったボードゲームのことを、ボードゲーム作家が2人がかりで書き綴るご機嫌なブログです☺

『1987 英仏海峡トンネル / 1987 Channel Tunnel』イギリスフランスになって、トンネル掘りで競争しようよ【100点】

ごきげんよう、なかよしです。

今回遊んだのは、英仏海峡トンネルの掘削工事をテーマにした2人用のボードゲームです。

ボドゲパブリッシャー Looping Games が手掛ける19XXシリーズのひとつ。歴史モチーフのラインナップです。

特に今作における歴史的な経緯を活かした調整には非常に感心させられたし、袋から引いた色のワーカーをやりくりする操作も面白かったので、感想を書き残しておきます。

 

 

どんなゲーム?

ここはドーバー海峡。

プレイヤーはイギリスまたはフランスを担当し、お互いに向かってトンネルを掘っていきます。

ゲーム終わりにトンネル工事への貢献度や技術の進歩具合を点数として集計し、高い方のプレイヤーがゲームに勝利します。

あるいはゲームの途中で、掘削の誤差を修正不能なほど大きくしすぎたプレイヤーの敗北によってゲームが終わることもあります。

 

このゲームでは、ラウンドを繰り返します。

ラウンドごとに所定の数のワーカーであるディスクを引きます。引いたディスクは色ごとに重ねておきます。

そしてパスするまで手番を交互に繰り返します。

 

手番には、アクションを1つ行います。

できるアクションは以下の5種類。

・掘削に必要なディスクの色を確認する「計画」
・指定された色のディスクを支払って行う「掘削」
・能力を強化したり誤差を修正する「技術」
・技術向上や誤差の修正で支払うコストを稼ぐ「資金」
・特殊能力やゲーム終了時の追加点要素のあるカードを手に入れる「開発」

5種類のアクションを行うためにワーカーを置く場所も5箇所あります。

ただしアクションと場所が1つずつひもづいているわけではなくて、1箇所で2つずつのアクションが割り当てられています。

ワーカーを置いた場所に割り当てられた2アクションのうち好きな方を選んで行えるようになっています。

 

アクションを行うには、手元のディスクを1色選んだら、行いたいアクションのカードの上にその色のディスクをすべて置きます。小出しにすることはできません。

すでにワーカーが置かれているカードのアクションも選ぶことができますが、そのためにはすでに置かれているよりも多くのディスクを置く必要があります。上書きできたなら、もともと置かれていたディスクは自分の手元に引き取って再利用することができます。

 

トンネルに割り当てられた全18段階のうち半分の9つをどちらかのプレイヤーが先に掘削し終えるか、誤差による敗北が起こったとき、ゲームが終わります。

 

たのしいね、ゲームの感想!

歴史的な背景をところどころゲームのルールに活かしていることに、なんだか興奮を覚えるゲームです!

 

まず先手番が、イギリス側のプレイヤーと決まっています。

これはイギリスのほうが早く労働者を集めて、工事に着手したからだそうです。

一方、後手番のフランスは労働者を集めながら掘削技術の向上に努めていたことから、このゲームにおいては漏水事故の影響を受けないという強みがあります。

おそらく興味があって調べたりするきっかけも披露する機会もなさそうなトリビアですが、説明書を読みながらへへえと思いますし、ルールに活かされているということには感心せずにはおれません。

 

そんなふうに設定も活かしているだけあって、細かいところも気が利いた作りになっています。

例えば「開発」のカードは、資金として得る場合も、カードごとに割り当てられたアクションとして使用して捨てることもある、3通りの役割を果たすようになっています。

市場みたいな共有の場からカードを選ぶようなゲームでは、ほしくないカードが溜まってしまったりして場が膠着するような状況をしばしば味わいます。このゲームで並んだカードは3通りも使い道があるので、山札がよくまわりまったく停滞しません。

 

基本的には敗北を避けながらトンネルを掘るゲームなので、やることがかなり固定的なように見えます。

でも遊んでみると、ディスクの色の引き運を筆頭に、カードのめくり運、そしてトンネルの瓦礫トークンの配色など、展開を左右する多くのことがプレイヤーの裁量の外にあることがわかります。

これらの掛け合わせで、可能性が様々に広がっているのです。

 

もっとも大きい得点源となるのは、相手に大きな差をつけてトンネルを掘り終えることです。でもこれは簡単ではありません。

次に大きいのは技術をしっかり進めて個人ボードに割り当てられた最大級の得点を稼ぐことなので、ある程度掘り負けたとしても技術の先行が勝敗を決めることも多いでしょう。

掘削と技術のどちらもそっちのけで、得点狙いのカードばかりを掻き集めるなんてことでも、大量得点は可能です。手番数的にビハインドを背負うから、その方針で勝つには相当な運の強さが必要そうではある。

 

ゲームの説明としては省略しましたが、特定の条件を満たせば追加得点になるけど満たせなければ減点になるという「拡張:アジェンダ」も同梱されています。

追加して遊んでみたところ、ゲームにさらにアジェンダ運が増えるだけなので、あってもなくてもそんなに変わらない気はしてしまったけど。

味変要素が公式に用意されてるなんてとにかくありがたいから大歓迎だよ!

 

何回遊んでも期待通りに楽しませてくれそうな、安定感のあるゲームでした!

箱の小ささに詰まった作りの良さとその味わいに、19XXシリーズの他の作品もだんだん気になってきちゃいました。

遊んでみたいな~。

 

以前遊んだ19XXはこちら▼

『1923 コットンクラブ / 1923 Cotton Club』ギャングを味方に素敵なジャズと密造酒でセレブリティを招こうよ【100点】 - #ボードゲームたのしいね

 

 

『1987 英仏海峡トンネル / 1987 Channel Tunnel』
2人用 / 約45分 / 12歳以上
Designer:  Isra C., Shei S.
Artist: Pedro Soto
Publicher: Looping Games(2019)

1987 Channel Tunnel | Board Game | BoardGameGeek

 

 

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この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)

 

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