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全作オススメ! 遊んで楽しかったボードゲームのことを、ボードゲーム作家が2人がかりで書き綴るご機嫌なブログです☺

『チョコレートファクトリー』かわいいチョコ駒でドラフト×変換パズル×エリアマジョリティー【100点】

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こんにちは、2月ですね!

2月といえばバレンタインデー。

バレンタインデーといえばチョコレート。

というわけで、購入以来遊べていなかった本作『チョコレートファクトリー』を、この機会に取り出して遊んでみることにしました。

 

チョコレートを題材にしたボードゲームの中でも、最も箱の大きい、つまり本格的な遊びが楽しめるゲーマーズゲームの筆頭と思しき、チョコレートファクトリー。

見た目もよいので大変気になり、日本語版の発売まもなく手に入れました。

ちなみに他の本格チョコゲー候補は『チョコラトル(2010)』かな、遊んでみたいな。ひとまわり箱が小さい気がするけど『カカオ(2016)』っていうのもありますね。

いやあでもあれらは、チョコテーマというよりはアステカテーマかな…?

おっと、話がそれました。

それではチョコレートファクトリーのゲームの紹介と、実際に遊んだ感想を述べていきましょう。

 

目次

 

どんなゲーム?

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月曜日から土曜日まで工場を動かして、チョコレートでたくさんお金を稼いだ人が勝ち、というゲームです。

 

全部で6ラウンド=6日間

ゲームは全部で6ラウンドからなります。

1ラウンドのことをこのゲームはでは1日と呼ぶ。

最初のラウンドが月曜日で、次が火曜日、水曜、そうやって土曜日までがんばって働きましょうというわけです。

各ラウンドは、
①石炭の受け取り
②従業員の雇用と工場設備の増設
③工場の稼働
④チョコレートの販売
⑤倉庫の整理
といった流れで行われます。

 

①石炭の受け取り

工場設備は石炭を燃料にして動きます。

この石炭は、ラウンドごとに定められた数を、プレイヤー全員が一律に受け取ります。

石炭はチョコレートの製造に不可欠で、しかも基本的にはこのタイミングでしか手に入りません。

使える個数内でベストの選択を意識しながら以降のステップに進みましょう。

 

②従業員の雇用と工場設備の増設

ラウンドのはじめに、山札から従業員と工場設備を並べます。

各プレイヤーは手番順の遅い人から、従業員か設備のどちらかを選んで受け取っていきます。

先に従業員を選ぶと、設備を選ぶ権利が後回しになる仕組み。
いわゆるドラフト的な手順です。

プレイ人数に応じて選択肢が束になっていたりしますが、その中から「1人雇う/1つ増設する」なのは一緒。

従業員は選んだラウンドにのみ効果を発揮する特別な能力を持ちます。追加の石炭やカカオをもたらすような「贈り物」タイプの従業員もいます。

また従業員は、製造したチョコレートの卸先となるデパートを決める制限とも紐付いています。

工場設備は、カカオから始まるチョコの加工に対して、初期設備よりも何らかの面で強力な性能があります。

このゲームでは、手番順を意識するのはこの②の手順のみ。遊び方に慣れたら、同時進行できるのでかなりスムーズです。

 

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③工場の稼働

このゲームのメインパートとなるのが、この工場の稼働です。

各プレイヤーは、ラウンドごとに3回ずつ、自分の工場内でカカオを載せたベルトコンベアを動かすことができます。

ベルトコンベアが動くたびに1回ずつ、工場の各設備の効果を適用することができます。これによりカカオが加工されて、ココアやチョコバー、包装された製品になって、販売ができるようになるのです。

施設を利用するためには、設備ごとに示されている個数分の石炭の支払いが必要です。

また各設備は、隣接するベルトコンベア上のコンテナのみを対象に効果を発揮します。

 

④チョコレートの販売

自分の抱える大中小の3種類の店舗と、共有の場にあるデパートのうちのひとつで、作ったチョコレートを販売することができます。

販売できるチョコレートの種類や組み合わせは予めわかっています。

なるべく効率よく要求を満たせるように工場を拡張し、設備の効果が目的に噛み合うように稼働させましょう。

この手順はラウンドごとに行うので、ゲームが終わるまでに6回、チョコレートを販売する機会があります。

販売によって得た売上は、お金としての使い道は一切ありません。

金額はすべて、このゲームにおける勝利のための点数として扱います。

 

⑤倉庫の整理

最終ラウンドでなければ、手持ちのチョコレートの数が倉庫の上限を超えていないかチェックします。超えているようであれば、石炭と交換します。

このタイミングでなくても、プレイヤーはチョコレートをゲーム中いつでも石炭に変換することができます。

 

ゲームの終わり

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ラウンドごとに①~⑤を繰り返し、土曜日のラウンドを終わりまで遊んだら、最終得点計算を行います。

ゲーム中にチョコレートの販売で得た売り上げは、すべて勝利点になります。

最終得点計算では、各自の店舗の販売要件を最も多く満たしたプレイヤーや、デパートごとに最も多く商品を納めたプレイヤーには、さらに追加点が入ります。

デパートの決算はいわばエリアマジョリティー。納めた個数をすごろく状のマス目で管理し、上位1位~3位のプレイヤーに大きな得点が入ります。

ベルトコンベアや倉庫に残された、販売できなかったチョコレートや石炭も点数として数えることができます。

獲得した得点の合計が最も高いプレイヤーが、ゲームに勝利します。

 

たのしいね、遊んだ感想!

トレンドに合致してるね

チョコレートファクトリーは、優等生な資源パズルだと思いました。

限られた資源とその上手な使いみちの検討を、高度なバランスで楽しめるようなゲームに仕上がっていると感じます。

このような、比較的制限の多い資源量をなんとかやりくりして目的を達成するようなタイプのゲームは、近年の中~重量系のボードゲームで高い評価を得やすいトレンドの傾向にあると思います。(『アルナックの失われた遺跡』『赤の大聖堂』『マウンテンキング』など)

プレイヤー間の相互作用が発生するのはラウンドごとの「ドラフト」と最終決算のためのデパートでの処理のみ。そういったインタラクションが弱めなのも、近年好まれる傾向だと思います。

ラウンドごとにドラフトしてプレイヤー間で奪い合った要素を、自分が狙った得点要素に合わせて変換していくようにつなげていくので、「エンジンビルド」や「拡大再生産」といった手応えもあります。

これらの要素も、近年のボードゲームではかなり人気のあるジャンルです。

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拡大再生産が緩やかだね

拡大再生産のゲームとして本作が特徴的なのは、拡大の勢いがかなり緩やかであることです。

拡大再生産やエンジンビルドのゲームの多くの作品には、序盤の閉塞感を抜けた終盤に、なんでもできるような気持ちよさが伴うことが多いです。

一方で、拡大しすぎた盤面を把握する負担も大きく、できるはずだった処理を把握しきれず行い忘れるようなプレイミスの原因にもなりがちという欠点もあります。

その点、本作チョコレートファクトリーは、拡大が緩やかで処理があまり増えないので、盤面を把握しきれないようなストレスは感じにくいと思います。

 

チョコレートファクトリーの、拡大の仕方が緩やかな理由は2つあります。

ひとつは、1ラウンドにひとつしか拡大要素が手に入らず、ゲーム全体は6ラウンドしかない。つまりぜんぶで6回しか拡大をしかける機会がないということです。

しかもそのうち2~3回は通常、初期設備を上書きする形になるので、さらに拡大の体が抑えられることになります。

もうひとつは各ラウンドで動かせるベルトコンベアが、3つずつに固定されている事によります。それはチョコレートを作るための「カカオ」が3つしか手に入らないということでもあります。

どんなによい設備の流れを作っても、それを活かす機会が3回しかないのです。

そのため、ラウンドが進んでも劇的な成果は出しにくくなっています。前ラウンドよりも少しましになったかな、という程度を繰り返すことになります。

 

唯一、支払いコストとなる「石炭」だけは、ラウンドを減るごとに1つずつ増えていきます。

しかしこの石炭についても、消費して動かしたい工場設備のほうがもっと増えているため、やはりやりたい放題にはなりません。

むしろ稼働設備を極端に限って運用するような状況を選ぶ場面も多々あるくらいの、しぶめのバランスです。

 

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本作のおすすめポイント

チョコレートファクトリー、広くおすすめできるゲームだと思うので、100点です。

キャッチーな見た目からは予想がしにくいですが、しっかり地に足のついたような落ち着いたルールです。

初回プレイでは、最初はこつこつと店舗に力を注ぐか、最終決算に向けてデパートに賭けるのか、ざっくり2つの方針がありそうだといったことを意識して遊び方を把握してもらうのがよさそうです。

店舗とデパートの両方を臨機応変に狙ってみる3つ目の方針は、慣れるまではハードルが高くなってしまう気がしました。どのような要領と規模で最終的な得点につながっていくかという勘所が、説明を聞いただけでは掴みにくいかもしれません。

初回プレイでは、ラウンドの準備処理程度に捉えてしまいがちな従業員や施設の奪い合いこそが、得点獲得の要であることに気づくことは難しいでしょう。

パズル側としては要求が広く見える割に選択肢は乏しく、手元でコンボできるかはカード引きの運の影響も強いです。毎回3カカオしかもらえないわけですし、チョコを上手に変換することよりもきっと、いかに毎ラウンドの状況に最適化できるかが大事なのでしょう。

だからパズルの処理自体が複雑なわけでもないラウンドを、6回も繰り返すのだなという納得感も出てきます。

ぜひ2回目以降を遊んでほしいですね。

 

特に以下のような傾向の人には、本作をおすすめできます。

・いま風の手堅い資源パズルが好き。

・かわいいゲームで遊びたい、所有したい。

・あまり複雑な処理にはついていけないが、重めのゲームを味わいたい。

・プレイヤー同士で足を引っ張り合うような要素はなるべく避けたい。

・各々のペースで点数を伸ばしたい。邪魔されたくない。

・2月に季節感のあるゲームを探している。

 

以下のような人には、おすすめ度はやや下がります。

・バチバチ戦いたい。

・木駒は無骨なほうがいい。

・拡大や生産は派手なほうがいい。

・バランスの良さは重視しない。多少の粗よりもユニークな体験を求めたい。

・30分以上かかるゲームは避けたい。

・1時間以上かけて苦しさを味わいたい。

 

『チョコレートファクトリー / Chocolate Factory』
1-4人用 / 約45-90分 / 10歳以上
Designer:  Matthew Dunstan, Brett J. Gilbert
Artist:  Denis Martynets, Paweł Niziołek, Andreas Resch
Publicher: ケンビル(日本語版 2020)

Chocolate Factory | Board Game | BoardGameGeek

 

 

 

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この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)

 

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