アスドール(フランス年間ゲーム大賞)へのノミネートでも話題に!
日本の兵庫県にある姫路城、別名「白鷺城」をテーマにした評判の良いボードゲームです。
予約で手に入れていた初版をようやく開封することができました。
5回くらい遊んだ感想と、おすすめセッティングのやり方を書き残しておきます。
次に誰かとこれを遊びたくなったときの私自身のために!(すぐ忘れちゃうから)
どんなゲーム?
ときは江戸時代、みんなでこぞって白鷺城主のご機嫌取りに挑みます。
ちなみにマニュアルには酒井忠恭という城主の名前もしっかり出てくるのですが…日本人でもほぼ知らない人では??
内容は、共有のサイコロをひとつ選んで、それを空いているスペースに置いて対応するアクションを行うタイプのゲームです。
ダイスピックとかダイスドラフティングとかダイスプレイスメントとかそんな名前が付いていると思う。そういうやつ。
メインボードの各所に資源を払って自分のコマを送り込むことで、ゲーム終了時の得点が伸びるだけでなく、すこしずつゲーム中の展開も有利になっていきます。
手番ごとにやれることをしっかり考えて、資源の獲得と支払いをなるべく上手に回してみよう!
そんなこんなで3ラウンド9手番という限られた条件で、藩主のご機嫌を取って影響力を高められた人が勝ち。
たのしいね、遊んだ感想!
全体的に手堅くしっかり作られているなあという手応えに関心する、今風のよくできたゲームです!
ルール量はそこそこありますが、プレイ時間はだいたい60~90分程度に収まるでしょう。ゲームも濃密コンパクト、ボリュームやコンポーネントの割に外箱が小さいのも長所です。
メインボードなんか驚異の八つ折りで、畳み方と開き方は毎回戸惑います。外箱から想像もできない盤面が机に広がって興奮しちゃいます。
テーマに目を向けると、ボードゲーム界においてはかなり希少な気がする、日本人が遊んでもわかりやすいツッコミどころのない真っ当な和風作品。
外国人(スペイン人)が作ったというのに、お約束みたいなとっぴなジャパニーズテイストがぜんぜん見当たらないのは、嬉しい反面もはやなんだか物足りない気持ちすらありますね(笑)
そういうわけで「中~重量級のボリュームで手堅い内容の希少な和物ボードゲーム」として『ホワイトキャッスル』ならではのポジションがあるので、手元に置いておくときっと出番があるはず。
箱の小ささが、所有のしやすさを後押しします。
ここからちょっとネガティブ感想。
プレイ感に手堅さが、一方での窮屈さにも繋がっているところがあります。
セットアップにもよるのですが、盤面でうまく回りそうなポジションを見つけられない場合は、あるいは見つけても他のプレイヤーに専有されてしまった場合は、想像以上に先の見えない、渋い味わいになってしまうでしょう。
この「セットアップにもよるのですが」の部分がなかなか厄介で、このゲームはセットアップやラウンドの準備のバリエーションに、かなり大きく幅があるのです。
上振れと下振れが激しい。そのこと自体は、遊ぶたびに変化があるとみればリプレイ性重視の観点では好ましいところもあります。
しかし振り幅があるので、展開を渋く辛くする方向でセットアップや出目が偏った場合、例えば「手元に銭がないしそれを稼ぐ方法も見当たらないから何もできない」といった窮屈な展開が続くことになります。
ルール上の救済としては「最低でも1コイン相当と何か資源がもらえる」ような選択肢しかありません。このゲームでは基本的に資源が無駄になることはほぼないのもの、すごく役に立つか、そのとき欲しいものかどうかは、また別の話になります。
ただでさえ9手番しかないゲームで、消極的な手を打つしかない手番が複数回あるような展開を味わってしまった場合には、きっとゲーム全体の評価を大きく下げてしまうことは避けられないように思われます。
全員がそのような展開を味わうならまだよくて、一部の人だけがもろに凹んだりすると明らかに挽回不能な雰囲気のままゲームを続けることになるでしょう。
そのことが公平なゲーム展開に見えるかどうかでいうと、ダイスピックは手番順に行えるのですが、極端に遅れを取っている人が簡単に先手番を奪える仕組みにはなっていないし、そもそも奪う機会がゲーム全体で2回しかないので、挽回は難しそう。つまり、うーん、たまたまそうなってしまうことも許容しているゲームのはゲームの仕様なんじゃないかなあ。
「全体的に堅実」でありながら、「展開がダウナーに偏る可能性」に大きく目をつぶっているように見えるところは、私の好みとしてはせっかくの長所を相殺してしまうような、かなり大きい短所と感じます。
ここからポジティブに遊ぶセッティング案。
セットアップによるのですが、アッパーなコンボが楽しめるゲーム展開になることも当然ありえます。
あくまでも私の好みの話になりますが、私がせっかく遊ぶなら9手番しかないゲームは各手番がなるべく有意義であったほうが嬉しい。なのでこのゲームを10回以上遊んだ私が、またこのゲームを遊びたくなったときのために意図的にアッパーに近づける方法を書き残して置きます。
あなたが遊ぶときの参考にもなるといいな!
特にゲームに不慣れなうちは、偏りを避けることにこだわったほうがガードレール的につまらなくなりにくいと思うので、初心者と遊ぶときはぜひ。
●井戸のダイスタイル
・「銭タイル」と「3資源のいずれかが選べるタイル」の2種類を置こう。
・「3資源いずれか」を2枚置くか、プロモをお持ちなら「銭」の代わりに「家紋」がもらえるタイルでも良い。
・いろいろ考えたけどそのへんが強いので、強いほうがベター。正直、井戸は消極的に選びがちな展開がほとんどになる弱いアクションなので、これくらいの保障があってもよいと思う。灯籠タイルが今後登場するようなら、それを選んでも良いでしょう。
●城のダイスタイル
・下層のダイスタイルを置くときは、各色のダイスで必ず2アクションを選べるようなセッティングにする。例えば左から「赤赤黒」「黒白黒」「赤白白」のように。
・上層は適当でもいいですけど、4箇所あるので3色ぜんぶが登場するようにするのが妥当に思えます。2色(または1色)しかないと捨てるしかないダイス(=手番)が増える可能性が高まります。
●庭カード
・銭を稼げるカードを絶対含める。さらに念を押して、なるべく恩恵があるように上段か中段に置く。タッチできる庭師が増えます。
・背景白の城アクションが選べるカードか、個人ボードに置いたかのようにアクションができるカードのどちらか(または両方)をぜったい含めましょう。
・銭を稼げるカードが盤面にあったとて、その恩恵がどれだけ得られるかはこれまた展開によるのですが、「最初からお金を稼げる手段がどこにも見当たらなかった」場合と「稼げる手段はあったがそれを選ばなかった、うまくやれなかった」ような場合では、ゲーム全体の印象がぜんぜん変わってくると思うので。
●操練場のタイル
・ここはあなたの好みで選んで置きましょう。これを用意しても自分は置かないかもなってやつは採用しないようにする。例えば1色のダイスアクションが選べるタイルのやつは、たまたま自分の状況と噛み合ってるときしか嬉しくないので、魅力少なめです。
・考え方としては、どこか1箇所だけ強いとそればかりになるので、各エリア、せめて点数の異なる複数エリアに強く魅力があるように見えるといいですね。
・なにも調整しないなら、5道具必要なエリアだけ即座の報酬が2種類あってゲーム後の点数がシンプルに2倍なので、置くのは1番大変とはいえそこが一番魅力的になるはず。なので、1道具や3道具にも単発報酬でも置きたくなるようなタイルがあるといいでしょう。
・1道具3道具に置くタイルの個人的なおすすめでいうと「個人ボードのダイスアクションいずれか」「藩士庭師侍アクションのいずれか(プロモ)」などは極端と言えるほど強いし、黄色面では「2資源いずれか」「5銭もらえる」の2枚はいつだって受け取る価値が高いです。
・ここをアッパーに見せるだけで、「道具を溜めてここを起点にあれをしよう」というわかりやすい指標になるので、遊びやすくもなります。
●各ラウンド準備時のダイスロール
・出目があまりに腐っていたら(出目の小さいものばかりだったら)振り直す、といったルールを前もって決めて全員で共有しておきましょう。振り直しの基準も含めて前もって決めておくことが大事です。
・処理しやすいように、色単位で考えても良いでしょう。条件は具体的に「出目平均2以下の場合」とか、「3以上が1つも出ていないときは」など。
・特に、立て続けにピンゾロ(⚀⚀⚀)みたいなときにラウンドのプレイを強行すると、みんなで「このゲームっていったい何をさせられてるんだ?」みたいな気持ちになりかねません。私たちはなりました。
・セッティングを説明書通りランダムにしたとしても、この振り直しだけやることにすれば、事故防止としてはずいぶんマシではないかと思う。
まとめ
箱の大きさ以上にしっかり遊べる和物!!
ボードゲームらしさがぎゅっと詰まったいいゲームと思います。
ルール通りに遊ぶなら90点(私は楽しめたよ)ですが、アッパーセッティングに配慮するなら100点(幅広くお勧めできる作品だよ)以上です。
ありがたく棚に納めて、ときどき拝みましょう。
前提ですけど、1手番が重い上に、自分の手番まで状態が確定しないゲームなので、ダウンタイム(自分の手番じゃない時間)が長くなりやすいのはしょうがない。だからそのことをこのゲームの短所とは私は思いません。
焦らずたっぷり時間が取れそうな環境で遊ぼうね。
日本語版の初版に付いてくるプロモタイルについては、熟練のボードゲーマーのみなさまには渋さが好まれるようで、あまり評価が高くない模様(BGGのコメントなどをみた所感)。
たしかに、なくてもまったく問題ないとは思う。だけどアッパーなセッティングに役立つ内容なので、私は好きですね。
プロモ2のカードは、もっとなくても問題なさそうだけど、私はYESリピート派だからなんでもあれば嬉しいです。拡張も出るなら期待したい。
そういえば、ホワイトキャッスルと同じ作家コンビによる『赤の大聖堂』、拡張付きでは遊べていないのでそちらもチェックしたい気持ちがつよくなりました~!
『白鷺城/ホワイト・キャッスル / The White Castle』
1~4人用 / 約80分 / 12歳以上
Designer: Isra C., Shei S.
Artist: Joan Guardiet
Publicher: CMON JAPAN(日本語版 2023)
The White Castle | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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