ごきげんよう、なかよしです。
最近遊んだ『タッジー・マッジー』は、18枚しかない花のタイルをやりとりして、想いを伝える花束を贈りたいゲームです。
写真じゃ内容物はカードに見えるかも知れないですけど、全部厚みのあるタイルなんですよ。
シンプルな小箱のゲームでもコンポーネントにチカラが入っているなのはielloさんらしい作りですね。絵もすっごくきれいだし。
ありがたいことにそのまま日本語版としてホビージャパンさんから販売中。花の絵も花の名前も花言葉も、ゲームに関係ない部分だってしっかり日本語であじわえるという。
ところで私は基本的に、重めの60分以上たっぷりあるようなゲームが好きなんですけど。
最近は2人用ブームも来ている関係で、こういう小品も積極的に遊んでます。
で、ある日タッジー・マッジーを遊んでみたところ「あ! これって『ラブレター』を遊んだときの気持ちに似ているぞ!」というような手応え。
そもそもハンドドラフトで遊ぶゲームってファンが多いこともありますし、それなら花っぽい見た目が合わずにスルーしていても遊んだら大好きって人もたくさんいそうだな?と思いましたので、感想を書き残しておくことにしました。
どんなゲーム?
19世紀のロンドンを舞台に、想いを届ける花束を作りたいというテーマ。
自分の前に4枚の花タイルを並べて、点数化することを繰り返すゲームです。
花タイルの選び方は、手番にタイルの山から2枚ひく。自分だけが内容を確認し、1枚はオモテ、1枚はウラの状態で隣の人に差し出す。隣の人は人は1枚選んで受け取る。残った方を自分が受け取る。
これを順番に1周したら手元に2枚花が並ぶ。さらに逆順で1周したらもう2枚並ぶ。合わせて4枚を一斉に公開して得点化する。
ルールはほぼこれだけ。
ここまでを1ラウンドとして3ラウンドを行い、合計点を競います。
もちろん点数が高い人が勝ち。
たのしいね、あそんだ感想!
自分の花が得点化される要素は、いくつかあります。
トータル18枚だから、そこまで豊富にバリエーションがあるわけではないですが、花の色、カードのアイコン、受け取ったときのウラオモテなど。
それに対して手番に2枚ずつしか引けないわけですから、予めの見通しは立つわけない。
シンプルに遊べて、見た目もきれいだけど…。
繰り返してもそんなに起伏もないし、すなおに自分の点数を伸ばすそうとするゲームじゃないのかもしれないな。
などと考えながらだらだらと2ゲーム目、5ラウンドほど動かしてみた頃でしょうか。
ふいに気がついたこのゲームの勘所は「なるべく取らせたい花を相手に取らせるゲーム」ではないか?ということです。
このゲームは、引き運に偏りがあるので、「どうしたって6点止まりだったじゃん」みたいなラウンドもあれば、「まあどっち目指したとしても10点前後にはなったのか」みたいなラウンドもある。同じような展開が続くようなこともざらに起り得るゲームです。
だから素直に「自分の点数を稼ぐこと」だけにこだわっていても「どうせ点数伸びなかったじゃん」といった気持ちになってしまいがち。
これではモチベーションにつながりません。
そんななかであえて自分の勝利を目指すわけですから、このゲームを遊ぶときには絶対評価の「自分の点数」ではなく、相対評価の「相手との点差」に目を向ける必要があるような気がしてきました。
そうなってきてようやく、自分が差し出す花の意味合いが変わります。
例えば「自分に取っては赤い花は1点、白い花は2点だ。でも向こうにとっては赤は2点、白い花は0点。ということは自分が1点多く取ることにこだわって相手と同点を獲得するより、点差を作ったほうが得だぞ」というふうに。
これによって、俄然面白くなってくるのが「どちらかをオモテで相手に見せて、選ばせる」という差し出すときの操作です。
人間って不思議なもので、見えてない未来のことを期待値だけで冷静に割り切れないんですよね。片方だけしか見えないことで「見えているよりももっと得なものが隠されているのでは?」といった変な期待にとらわれてしまうことが、往々にしてあるのです。
さっきの例でいくと、相手にとって0点の「白い花」を見せれば、かなり高い確率で伏せた「赤い花」の方を取ってくれるでしょう。自分の手に残るのは自分にとって2点の「白い花」です。
でも初めから2点の「赤い花」だけを見せられた相手は、伏せられた「白い花」のことが気になって仕方ないですよね。こうすることで相手に白い花を取らせて、自分が赤い花を獲得できる可能性が、かなり高まるわけです。
実際のところはやってみるまでわかりませんが。
つまるところ、そういう駆け引きの積み重ねるためのゲームとして考えると、手軽な割にかなり楽しませてくれるじゃないの…!といった感じ。
評価の高まりを感じてきました。
と、ここまで長々と書いておきながら恐縮ですが、そろそろゲームの重大な問題も正直にお伝えしておきます。
このゲームは1~4人で遊べるけれども、私の見出したおもしろどころを最大限に活かすなら2人で遊ぶべきだということです。
2人プレイがベストです。
人数が増えると、相対評価で点数を考える負担が跳ね上がりますし、駆け引きの焦点がぼやけてしまいます。
起伏の少ない自分の点数伸ばしにこだわるしかなくなりそう。
ああBGGで2人プレイがベストになっているのも納得だ、と思うに至りました。
そんでもって、冒頭にも述べた『ラブレター』との類似点ですが。
『ラブレター』って手番に1枚引いて1枚出し、その効果を駆使するゲームです。
それって1枚オモテ、1枚ウラですよね?
プレイ感がなんとなく既視感を覚えてもいたしかたないところでしょう。
カナイセイジさんの『ラブレター』は、たった16枚のカードで「秘めた想いを届けるラブレター」というテーマのゲーム。
一方、エリザベス・ハーグレーブさんの『タッジー・マッジー』は、18枚という小カード構成であることもさることながら、あえてそうする必要もないと思うのですが「意中の人に想いを伝える花束」というテーマになっています。
というあたりおそらく影響を受けていることは間違いなく、エリザベスなりの「ラブレター」なのだ!と思った次第でございます。
ただし『ラブレター』は、自分が何を残しているかを他のプレイヤーに悟られないように立ち回ることが重要な正体隠匿系と呼ばれるジャンル。
4人ベストだし、遊んでる途中で脱落することもある。
一方『タッジー・マッジー』は2人ベストで、途中脱落はなく点数を集計するなど、楽しみどころは大きく異なります。
これは『ラブレター』と『タッジー・マッジー』どちらが優れているという話ではなくて、それらは大いに補完的であるということ。
片方が好きなら、どちらのゲームもオススメです。
遊びたい人数と気分に合わせて選んでね!
『タッジー・マッジー / Tussie Mussie』
1~4人用(※2人推奨) / 約20分 / 8歳以上
Designer: Elizabeth Hargrave
Artist: Zarina Karapetyan
Publicher: ホビージャパン(日本語版 2022)
Tussie Mussie | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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