本作と同時期に日本語版が発売された、『アバブ&ビロウ』というボードゲームがあるんですけどね。
似ているのは発売時期だけでなく、「地上を追われた人々が、地下を開拓しながら生活する」というざっくりとした設定まで一致していることに気が付きました。
アバブ&ビロウのほうは、海外版が2015年前に発売済みで、日本では大勢のボドゲファンに日本語化を待ち望まれていた注目作。ついに出た!って感じ。予約段階で売り切れが続出していましたもんね。
かたやこの『フォールアウト:シェルター』は、国内での話題性ではアバブ&ビロウに譲るものの、ほぼ世界同時発売の波に乗り2020年に発表されたばかりという世界基準で最新のボドゲ。
海外発のボードゲームって、たいていは翻訳作業のために日本語版の発売は遅くなるもの。こんな旬のタイミングで味わえるチャンス、実はあんまり多くはないんですよね~。
本心をいえば、私だって気になるのはみんなが話題にしてるアバブ&ビロウのほう。でも最新作が最新のうちに遊べるならそうしたいし。いろんな比較にもなるだろうし。
こりゃあ両方遊んでみるのが粋なのでは?と思って、まずは手に入りやすい「シェルター」を遊んでみることにしました。
デジタルゲームモチーフならではの、奇抜な目に会えたりするのかな??
どんなゲーム?
プレイヤーは、地下施設「vault」に暮らす有力な避難民のひとりとして、次期指導者の座を争います。
具体的には、仲間を集め、資源を確保し、施設を増強して、住民の幸福度「ハピネス」を高めることを目指します。
獲得したハピネスはチップの形で受け取れます。
所定の広さまで施設を拡張したらゲームが終わり、最もたくさんのハピネスを持っている人が勝ちます。
ゲームのプレイは、手番に自分の色の労働者コマをひとつ、vaultのどこかの施設マスに置くこと。
施設は全プレイヤーで共有しているので、使いたいマスは早いもの勝ちです。
基本的にはどのマスにも緑色のアイコンで報酬が示されており、労働者を置くことでそれを得られます。
赤色のアイコンが示されている場合、そのマスを利用するには支払うべき資源などの条件を満たさなければなりません。
例えば「食料3を支払って、労働者コマ1を得る」などのマスがあります。
自分が設置した施設のマスなら、それを他の人が利用するたびに資源をもらえるボーナスもあります。
資源は電気と食事と水の3種類。
手元のボードで管理しますが、一度に持てる量は6個まで。という上限があり、独占などはしにくいですし、上手なやりくりが大事になります。
交代で手番を行い、全員のワーカーがなくなったらラウンドが区切りとなり、所定の処理を行うとともにすべてのコマが手元に戻ってきます。
ラウンドを超えるたび、外敵が侵入することもあります。
施設の使用を妨げてくるので、退治しなければならないこともあるでしょう。
駆除できれば、報酬も得られるので率先してバトルしたさもあります。
バトルではサイコロを振りますよ!
バトルに失敗するとコマが負傷してしまいます。
実質的に手番を無駄にするので、無謀な挑戦はしたくありません。
そんなときは武器を用意しましょう。
施設の外で探索すれば、有用なアイテムが得られます。
アイテムはバトルに影響するものだけでなく、資源獲得や施設利用を有利にするもの、追加のハピネスを生み出すものなどがあります。
たのしいね、遊んだ感想!
あのフォールアウトシェルターが!
ボードゲームになったよ!!
…っていわれてもですね、すみません、私は元のゲームを遊んだことはないんです。
もうちょっと詳しく解説すると、もともとデジタルゲームで『Fallout』という有名なアクションRPGの人気シリーズがあります。
硬派な近未来SFで、核戦争後の荒廃した世界を舞台にしたシューティングゲームです。
そこから、同じ世界観を用いつつも、可愛げのあるビジュアルで描くスピンオフ『Fallout: Shelter』が誕生しました。
核戦争を生き延びた人々が身を寄せて暮らす、地下シェルターを経営するシュミレーションゲームです。
そのシェルターをボードゲーム化したもの。
というのが、本作の位置づけとなります。
これまで5回ほど遊びました。面白いです。
よく洗練されたワーカープレースメントに仕上がっていると感じています。
言うまでもなく、コマの造形などもかわいくて、しかもバリエーションがあるので、手にとって楽しいものになっています。
前任の監督官が死亡したため、そのような事態になっている、といった説明書の説明書の記述も気が利いていて好印象。
指示にしたがって適切な葬儀も執り行いたいものですが、残念ながら参照すべき付録7Cなどはゲームに含まれていません。実にざんねん!
パッケージが凹凸の施された特製の缶でできた凝った作りで、手にとった嬉しさがあります。
この箱だけ独特なのは、棚にしまうときにどういう扱いにしようかなあとも思ってますけど(笑)
Falloutのシリーズのボードゲーム化は、実は2回目。
前作はプレイ時間120分超級の大作で好評を博し、追加の拡張セットも発売されました。
私は原作だけでなく前作もやっていないのですが、原作を知っている人が遊んでも面白い作品だと聴いています。
それに対して本作は、箱の記載通り60~90分程度で区切りが付くような内容です。
ゲームに慣れたプレイヤー同士が少人数で遊ぶなら、30分程度で終わることもあるでしょう。
これは、前作の経験や本作のムードを踏まえて意図的に目指された軽さだと思われますが、小ぢんまりとして物足りない内容かといえばそうではありません。
まあ小一時間以上は遊べますからね!
ワーカープレースメントらしく、限られた行動の中で、何を優先するかという選択肢には十分な悩ましさがあります。
他の人の邪魔をするよりも自分の利益のために立ち回るほうが優先される状況が多いような作りも、今風で受け入れやすいものです。
ゲームの進行とともに、自分たちが選んだ施設カードで盤面が広がっていくところも、充実感が得られるポイントですね。
合間合間にサイコロを振るような、いくらかの運任せの要素があるのも、遊ぶムードの気楽さに貢献していると思いました。
人間て、サイコロを振れば振るほどハッピーになれると信じてる。
ボードゲーム界隈の基準からみれば奇抜そうなモチーフで目をひきつつも、意外とスマートにまとまった良作。
デジタルゲームの素養はあるけどボドゲには疎い。みたいな人と、ボードゲームで遊べそうなときの有力な選択肢になりそうなことは、私には地味にうれしいですよ。
だって沼への入り口は、多ければ多いほど良いですからね…!
『フォールアウト:シェルター ボードゲーム / Fallout Shelter: The Board Game』
2-4人用 / 14歳以上 / 約60-90分
Designer: Andrew Fischer
Artist: クレジットなし。
Publicher: 日本語版 HobbyJAPAN (2020)
Fallout Shelter: The Board Game | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
『コフンクラベ』というゲームを作りました。
日本に実在する前方後円墳を見比べて遊ぶゲームだよ。
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