やった~!
日本語版の発売を待ちに待った『スキタイの侵略者』です。
作者のシェムフィリップさんは、ニュージーランド人。「北海」や「西フランク王国」のゲームシリーズで、2010年代後半にとても有名になりました。私もすっかりファンです。特に『西フランクの聖騎士』は、我が家では30回以上遊んでおり…いやこの話はまた別の機会にします。
で、この「スキタイ」は、彼の出世作『北海の侵略者(RAIDERS OF THE NORTH SEA)』のリメイクです。同作には日本語版がなく国内流通も限られていたため私は遊べていないのですが、情報によればこのリメイクによって、バイキングテーマからアジアテーマへのビジュアル面での大胆な変更だけでなく、それに伴うゲーム内容の最適化や、拡張要素の整理導入が行われているとか。
原語版の発売からほどなくというタイミングで日本語版が発売になるのはめちゃくちゃハッピーなことです。出版のケンビルさんありがとう!
というわけで今日までに5回ほど遊びました。感想を書きます。
【目次】
どんなゲーム?
スキタイの部族を率いて、西へ西へと勢力を拡大していくゲームです。
その勢いはアッシリアやペルシアを超え、やがてギリシアにまで到達します。
侵略は莫大な利益をもたらしますが、事前準備が不可欠です。
というわけで、このゲームでは、食料をはじめとする資源を蓄えたり戦力となる同胞や戦馬を集める「労働アクション」を繰り返しつつ、その成果を示す「侵略アクション」へと繰り出すことになります。
このゲームでユニークなのは、労働の場合、手番に2つのアクションが行えるということです。
それは手番ごとにワーカーの「配置」と「回収」するそれぞれのタイミングで実行します。配置と回収は順番に行わなければなりません。
また、ワーカーは常に1つしか持ちません。また希望する労働や侵略先によって、ワーカーの色が指定されている場合が多くあります。そのためワーカーの色によっては、行いたい労働の成果が増減することもあります。
この「配置と回収の順」と「色の指定」によって、独特の悩ましさが生み出されています。
頼りになるのは、なんといっても同胞です。
メンバーの雇用は「労働」で行います。彼らは「侵略」における戦力のかなめとなるだけでなく、「労働」にボーナスをもたらすようなメンバーもいます。
同胞は一度に5人までしか雇えないので、どのようなメンバーで何をしていくかを考えながらゲームを進めていきます。
同胞は、侵略の際に負傷し、死亡してしまうこともあります。
「労働」で、鷹や馬を手に入れることもできます。
手に入れた動物は、同胞に与えます。
馬は戦力の増強や、ゲーム終了時の追加の勝利点となります。鷹は同胞の能力を高め、選択肢を増やします。
戦力を整えたら、「侵略」です。
侵略は、このゲームで最も多くの勝利点を稼ぐための手段のひとつです。
侵略ではサイコロを振り、出目で満たした戦力に応じた得点の獲得や負傷の処理を行います。
遠くの地に行くほど、求められる資源や負傷の可能性、戦力の負担が増します。それに比例して、得られる得点も高くなります。
侵略が失敗することはないのですが、序盤に遠くに侵略に出ても戦果が得にくいため、ふつうはゲーム終盤になるほど、ハイコストハイリターンを狙っていく傾向のプレイになると思います。
侵略を行うと、戦果に応じた勝利点や貴重な資源を獲得できます。
侵略先は限られているので、戦力が整わなくても他のプレイヤーに先んじて挑戦したほうが、有利に働く場合もしばしばあるでしょう。
労働や侵略で得た資源を支払って「依頼」をこなすことでも、勝利点が得られます。
余っている資源がうまく依頼に役立つといいのですが、そうでないことがほとんど。侵略先ごとに得られる報酬は予め見えているので、依頼達成を狙うなら必要なものまでよく考えて、上手にやりくりしていきたいですね。
所定回数の「侵略」や「依頼」が行われることで、ゲームは終了に向かいます。
得点計算をして、最も多くの勝利点を集めていたプレイヤーが、ゲームに勝利します。
たのしいね、遊んだ感想!
見た目の圧がすごい!
でもビジュアルの濃厚さ、クセの強さとはウラハラに、ゲーム自体はわざわざリメイクしただけあって、なんだかとても遊びやすく仕上がっていると思います。
所要プレイ時間としては1時間以上かかる感じなのに、印象としてはそんなに重く感じません。不思議!
5回遊んだ時点ですが、狙えそうな勝ち方をまだまだ上手にやりきれた気がしません。
わかりやすい流れとしては、大きな戦力を整えて、サイコロ勝負でもぬかりなくガッツリ稼ぐか。
死亡覚悟でも狙いをしぼった侵略を最低限行い、的確に依頼をこなすか。でしょう。
好みなのは、侵略で最高の戦果を示し続けることなのですが。
繰り返し遊んでみるほどに、準備に手間取り過ぎてしまうという弱みを大きく感じています。なにせ強大な戦力が整う頃には、他のプレイヤーに先を越されて侵略先がほぼなくなっている。
ローリターンでも、早いもの勝ちで成果をあげるほうが、収穫ゼロよりはずっといいのです。
なるほどなるほど、くやしいな~?
まだ試せていませんが、ぜんぜん使ったことのない同胞たちの能力から察するに、侵略は他のプレイヤーに任せて手元でコンボを組んで、労働だけでコツコツ得点資源を集めるような方法もおそらく有効なはず。
徹底的に勝利点を狙うような、侵略に向かない同胞と動物だけで固める線での勝利もありえそうです。
分かってくるほどに奥行きを感じるゲームでした。
シェムフィリップ作品のシリーズは、一般的な正方形の大箱より一回り小さいのも好感触ですね。揃ってくると気分がいい。
ゲームの雰囲気が好みに外れないなら、あなたもぜひ本作をお手元で回してみる候補にしてください。
気にいるようなら、同じ作者の西フランクシリーズもおすすめです💪
『スキタイの侵略者 / Raiders of Scythia』
1-4人用 / 約60-80分 / 12歳以上
Designer: Shem Phillips
Artist: Sam Phillips
Publicher: ケンビル (日本語版 2021)
Raiders of Scythia | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
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