#ボードゲームたのしいね

全作オススメ! 遊んで楽しかったボードゲームのことを、ボードゲーム作家が2人がかりで書き綴るご機嫌なブログです☺

【特集】めちゃくちゃ凄いゲーム『ドミニオン』の登場とその影響

ドミニオン:第二版 日本語版

みなさんは
『ドミニオン』という
ゲームを知っているだろうか?

2008年に出版されたカードゲームで
栄えあるドイツゲーム大賞に輝いた

ボードゲームにデッキ構築という
ジャンルの一大ムーブメントを
切り開いた歴史的な名作といってよい

国内に限らず世界中で愛好されて、
発売から十年が経った現在でも
新しい拡張カードが出版されていたりする

私も一時期ドハマリして
何回も繰り返し遊びました

さてそんな「ドミニオン」

何が面白くて新しかったのか
ドミニオンの後に何が起こったか
これから何が起こるのか

今日はそんなことを考える記事です

 

目次▼

 

『ドミニオン』ってどんなゲーム?

ドミニオン拡張セット 陰謀 (Dominion: Intrigue) (日本語版) カードゲーム

あなたは領主の息子だ

いくばくかの土地と
収入を持っている

ここから人を雇ったり
領地に施設を建設したりして
収入と領地をさらに増やすのが目的だ

今みたいな話を
すべてカードで行うのがドミニオン

プレイヤーはみな
同じだけの山札=デッキを持っていて

そこから手札を引き
順番に同じ場札を取り合いながら
自分だけの山札を育てていく

最初は手元には貧弱な領土や
貧弱な仲間たちしかいないが

それらを使って
ゲーム終了までにどれくらい
強大にできるのかを競う

 

ドミニオンの面白さ!

ドミニオン拡張セット 海辺 (Dominion: Seaside) (日本語版) カードゲーム

これまでTCGのジャンルで
各プレイヤーが事前に行っていた
「デッキを作る」という作業自体を
ゲームで行うことにしたのところが
ドミニオンによる発明だったと言える

カードを使ってカードを買う
それが自分のデッキとなっていく

カード同士の組み合わせには
幅広い可能性がある

そのときどきの
アイデアや戦術で繰り出す
シナジー(相乗効果)やコンボ(連鎖)
これがこのゲームの面白さではないだろうか

このゲームをきっかけに
ボードゲームを遊び始めた人も多いと聞く

私もボードゲームを遊び始めの頃に
ドミニオンにドハマリして
近所の友人と夜な夜な遊んだ思い出がある

 

ドミニオンとサプライ

ドミニオンデュアルセット 錬金術&収穫祭 (Dominion: Alchemy & Cornucopia) 日本語版 カードゲーム

ドミニオンはさらに
ボードゲームとして優れた
特徴をもっている

それが「サプライ」だ

遊ぶたびその準備として
たくさんの種類があるサプライから
10種類だけを箱から取り出して
残りは使わない
10個には人や建物などが書かれており
それぞれが全然別の効果持っている

それらを基本カード、
つまり必ず登場するお金や領地と
混ぜて遊ぶことになる

これを毎回やるわけだから
毎回状況が変化して
遊び方や戦術が違ってくる

つぎはどんなサプライが登場するのか
面白くて楽しみで
何度も繰り返して遊びたくなる
理由のひとつだ

 

ドミニオンクローン期

ドミニオン拡張セット 繁栄 (Dominion: Prosperity) (日本語版) カードゲーム

そんなドミニオンが出た以降の
ボードゲームには
「ドミニオンクローン」と呼ばれるような
亜種と呼ぶべき作品が大量に登場した

ほぼドミニオンの絵を変えただけの
『ニトロプラスカードマスターズ』に始まり

手を少しは加えてある
『サンダーストーン』や『アセンション』

1人用になった『ロビンソン漂流記』
サイコロを用いる「クォリアーズ』などなど

ドミニオンのルールを基にしたような
ゲーム群がたくさんたくさんでた

どのくらいかというと
世界的な規模で100種以上はあったし

国内の同人レベルを含めば
500種以上はあったはず

いろんな無茶な作品、
他のゲームの続編と銘打って
いきなりシステムだけ
ドミニオンになってたりするような
ゲームもなくはなかったけど

 

ドミニオンクローンの成功例

ハートオブクラウン?Heart of Crown?

例えば国産の
『ハートオブクラウン』
あたりは人気があったし
いまでも遊んでいる人が
いるんじゃないだろうか?

ハートオブクラウンと本家との
大きく異なるところは2つあった

1つは「姫」という存在を擁立し
その姫に使える人を雇う、つまり
手札やデッキから剥がすことを得点とする仕組み

もう1つはサプライが
ひとつの大きな山札となっており
もちろんたくさんの種類の
カードが含まれているのだが

そのうち9種しか
常に出ているものはない点だ

このような工夫による
ゲームごとのランダムさが
丁度いい塩梅になっていた

ドミニオンクローンも
なかなか面白いゲーム群だが
どうみたって「本家がドミニオンである」
ということには異論は挟みにくかっただろう

ドミニオンクローン期は長く続き、
現在もそのグラデーションの中にある

 

ポストクローン期

ドミニオン拡張セット 暗黒時代 (Dominion: Dark Ages) 日本語版 カードゲーム

真似たり真似されたりするうちに
ドミニオンは進化した

ドミニオンが、というよりは
取り巻く環境が、という意味である

ドミニオンがもたらした
「デッキ構築」という遊びのジャンルは
普遍的なシステムとして扱われるようになり
他の優れたシステム同様に
様々な作品で利用されるようになった

デッキのように扱われるのは、
もはやカードだけではない

『オルレアン』、『アルティプラーノ』、
『クアックサルバー』のように
バックの中に入れたチップを構築する形式とか
『エルドラド』や
『グレート・ウェスタントレイル』のように
すごろくのような他のシステムと
組み合わせた作品

『モンバサ』や『ニュートン』のように
複数のデッキを同時に構築するような
作品まで出てきた

無限の可能性を生み出すようにも思える
デッキ構築というシステム自体は
実はかなりシンプルなので
組み合わせても機能するほど
幅広く理解できる範囲に仕上がるのは驚きだ

 

ドミニオン、その先へ

ドミニオン拡張セット 冒険 (Dominion: Adventures) 日本語版 カードゲーム

ドミニオンは進化した
そして今も進化し続けている

ドミニオン以降のボードゲームである現在、
ドミニオンのその先を感じる
ちょっと不思議なゲームも出てきているので
最後のまとめとして紹介したい

さきほど述べた『エルドラド』も
すごろくとの合成により
デッキ構築のかなり新しい
可能性を見せてくれたと思うし

例えば日本語版が出たばかりの
『ミスティックベール』などは
遊んでいる途中で構築に使うカード自体が
スリーブへの差し替えにより変化していく

かつてTCGのジャンルでは
いくつか見かけたことのある試みだが
残念ながら成功したTCGはなかったと思われる

そもそもゲームの事前に構築を済ませる
TCGとは相性が悪かったのかもしれない

それに対して
準備と決着が1回のゲームの中で
必ず完結するボードゲームであれば
このシステムもうまくマッチしたようだ

ゲームの中でカードが強くなっていくのは
計画性が必要だし戦略も豊かにする
とても面白い効果を生んでいる

 

デッキ構築のこれから

ドミニオン拡張セット 夜想曲 (Dominion: Nocturne) 日本語版 カードゲーム

実験や合成の成功例を複数生み出し
成熟しつつあるドミニオン系ゲーム

豊富な知見を活かせる段階に進んだ
これからしばらくは
新たな挑戦というよりは
使い古されたと思わているような領域を
先祖返りのように開拓する方向を予想する

他の成熟したシステムとの安定的な複合とか
TCGなど別ジャンルの定番を利用したもの
さらには博打や麻雀といった
古典を取り入れたゲームが増えたら面白い

みんなでワイワイ騒ぐ系のゲームと
じっくり遊ぶ系のゲームの二極化が
指摘されることが増えてきた昨今

ドミニオン系のゲームは
従来の重さを増したものだけでなく
よりもっともっと軽く盛り上がれるものも現れるだろう

ドミニオン以後の世界に生きているのが幸せだ
これからも楽しみにしている

 

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