にぎやかで楽しげなアートワーク!
耳に涼しいタイトル!
酷暑の夏、クーラーの効いたおうちで『アクアスフィア』を遊びました☺
どんなゲーム?
プレイヤーは「研究者」です。
最先端の海洋研究所を歩き回って様々なタスクをこなしながら、誰よりも多くの研究成果を挙げましょう。
タスクは、研究対象である「クリスタル」の収集、自分だけの研究施設の拡張、そして大ダコの駆除などなど。
どれも勝利点の獲得や、ゲームの展開を有利に運ぶために欠かせない要素になっています。
どれもやりたい!
でももちろん、どれでも自由に何度もやらせてもらえるわけではありません。
タスクをこなすのは研究者自らではなく、自分の担当する「ボット」です。
ボットへは、本部から選べるメニューや、追加の時間チップを支払うことで指示を出します。
本部では、全部で6種類あるタスクのうち、7つの手段からラウンドごとに3種類、しかも示された順番でしかプログラムできません。
指示を出されたボットは、行動を「プログラム」された状態になります。ボットが実際にタスクを行えるのは次回以降の手番です。
ここで生まれるタイムラグも厄介で、次の手番が回ってくるまでに、ラウンド毎の処理や他のプレイヤーの行動に影響されて、状況が変わってしまうことがあるのです。
せっかく仕込んだプログラムが、期待通りの成果をもたらさないこともあります。
研究者たるもの、時間の管理はとても重要です。
研究所のセクションを越えて移動するときや、本部のメニューで選べないタスクを指示するときには、時間チップを支払います。
つまり時間チップが足りないと、満足に移動もできず、実質的に手番も減る。みたいな状況に陥るのです。それでもそうしたほうがいい場面はなくはないのが、このゲームのぐぬぬポイント。
もちろん時間チップを獲得するアクションもありますが、得られる機会や数だけでなく、自分が持てる数すら制限付き。
どのような順番でどこで使い、いつ補充するのか?
時間チップのやりくりがうまくいくと、とても気分がいいです。
遊んだ感想!
まず見た目が良い。
そしてむちゃんこ面白い!
実は、見た目の良さに惹かれて買ってみたのはかなり前。
遊べるまでに、ずいぶん時間が経ってしまいました。
最初に把握しなければいけない要素が多く、またアクションごとの手続きも多いので、ゲームを遊ぶまでのハードルは少し高めです。
だから特に1回目のプレイは、砂を噛むような味がするかも知れません。
踏まなければいけない手順の大抵のことはボード上に書いてあるので、選んだあとはそれを追えばいいんだなということが分かってくる。気にすることが減るほど思考が楽になって、楽しむ余裕も増してきました。
2回め3回め以降のプレイで、ようやく本来の楽しさが分かったような気がしました。
考えどころが減るわけではありませんが、手番にやれることはしぼられているので、慣れてくれば遊びやすさすら感じますね。
このゲームの作家は、ドイツ人のステファン・フェルト。
彼の作品を、私は特に見た目で興味を持つことが多くて、よく手に取ります。
そうやってこれまで遊んだフェルト作品のなかで、このアクアスフィアがいちばん気に入ったかもしれないですね~!
まず見た目の華やかさがすごい。
名作『ノートルダム』を彷彿とさせるような、どんな機能や意味を持っているのか想像してわくさくするような形状のボードが目の前に広がるのがポイント赤いです。しかもカラフルだし。
見た目のポップさほどにはカジュアルなゲーム内容ではないのですが、めっちゃ楽しそうに見えるのはいいことですよ。
フェルトがお約束のように作品に含めがちな減点要素も、もちろんあります。
しかし今作の減点要因は「大ダコ」というコミカルなもの。
集まった大ダコが奪っていく得点の大きさだけ聴くと、見過ごせないダメージを負わされるようなインパクトがあります。派手さの演出に貢献しつつも、実はスコアトラックに一工夫あるおかげで、大した被害になりにくい配慮がされています。
気づいてしまえば、自由なプレイを阻害されることはありません。
一方で、駆除すると得点が入るので、そのタスクをこなすことに魅力がないわけではない。粋じゃないですか。
さきほど述べたスコアトラックへの一工夫というのが何かといえば、一定の得点を記録するごとに、クリスタルを消費して、得点の上限を解除しなければいけないこと。
そもそもプレイヤーはこのクリスタルを研究している研究者という設定なので、ノルマとして集めたり定期的に提出しなければ研究成果が認められない。というゲーム上の決まりごとは、ストーリーにばっちり合致していますよね。
そして解除した上限が、そのまま大ダコの被害を一定以下に抑える下限としても機能するんですよ。
そんなエレガントなことある?
他にも、担当する潜水艦を配備するほど、ラウンドごとの得点や時間獲得が増えるなど、選択肢同士が与える影響の複雑さも、すべての把握は人類には早すぎるのでは?といった途方もなさ、あるいは人類の可能性の広さを味わわせてくれて、好感触。
なるほどなるほど、おみそれしましたフェルトさん、という感じ。
私にとってますます見逃せない作家になりそうです。
いやーアクアスフィア、期待以上に良い作品だったな。
この夏、ようやく遊べてすっかりハマって、10回以上遊びました。
でも1回も「何もかもうまくいった!」みたいな手応えがないんですよね…あれもやれたはず、これもやりたかった、つぎはここを伸ばしたい。みたいな気持ちが尽きません。
こりゃあ、まだまだ楽しめちゃうな~!
まことさんが書いた記事はこちら▼
巷で噂の最高傑作、その目で確かめてみた『アクアスフィア』100点 - #ボードゲームたのしいね
『アクアスフィア / Aqure Sphere』
2-4人用 / 12歳以上 / 約100分
Designer: Stefan Feld
Artist: Dennis Lohausen
Publicher: Pegasus Spiele (2014)
※アークライトさんから完全日本語版(2015)も出ています!
AquaSphere | Board Game | BoardGameGeek
この記事を書いたのは、なかよし☺(東京なかよしデザイン)
なかよしさんは最近『コフンクラベ』というゲームを作りました。
日本に実在する前方後円墳を見比べて遊ぶゲームだよ、なにそれ面白い!
ぜひチェックしてね▼
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